忘れちゃいけない「8月9日」に起きたこと
演奏会のチラシやプログラムにはプロフィール(経歴)が掲載されます。僕は出来るだけ「長崎出身」という文言を載せるようにしています。
それは自分自身がこの世に生を受けて22年間過ごしてきた街、という望郷の思いと共に、今から70年前に僕の大切な故郷で何が起きたか?を演奏会に来て下さる皆さんの心に留め置くことが出来ればいいな、という思いもあります。今の自分が精一杯出来る地元への恩返し、なんていうと偉そうですけどね。
正直言うと、子供の頃はこの日が来るのが嫌でたまりませんでした。何故なら8月9日は(夏休み中だけど)必ず学校へ行く「登校日」。学校へ行くのがあまり好きでなかったというのもありますが、原爆の悲惨さを伝える映像を見たり被爆者の方の話を訊いたりする日で、血を目の当たりにすることに強い抵抗がある自分にとっては、あたかも「自分の身に起きたこと」のように受け止めてしまい、想像を絶する光景に毎年のように具合が悪くなってばかりだったからです。
今の自分が8月9日の出来事を直視出来ているかどうか、正直自信はありません。でも、その時何が起きたか?ということはきちんと受け止めているという自負はあります。そんな悲しい過去を経て、自分が今ここで生きていることも。
70年前と言えば僕の祖父・祖母の世代の出来事です。
先日、この70年前の出来事がいつ(何年何月何日)起きたのか?知らない人が増えて来たという話を見聞きしました。
もちろん知識として知っておくことは大切だと思います。でも、8月6日に広島、8月9日に長崎で・・・と(学校の試験で解答するかのように)覚えているだけでは何の意味もないと個人的には思っています。
大切なのは70年前という遠くない過去の悲しい出来事が、実際にこの地球上で、我々人類に対して、自分たちが住む国において起きたこととして受け止め、記憶として留め、それを二度と繰り返すまいという思いとともに未来へ向かうことなのかなと思っています。
長崎が”人類最後の被爆地”となることを毎年願っています。
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