型にこだわるのか?流れを読むのか?
音楽の次にスポーツ観戦をするのが好きです。そして一流選手や指導者の練習法を見て、日常の自分自身の練習を見直すといろんなヒントを見つけることはもっと好きです。
昨夜は家にいたこともあり、野球の国際大会、日本対韓国戦をテレビ観戦していました。
後味の悪い結末に、何とも言えない気分になったことも事実ですが、結果だけを見て言うと”勝てば官軍、負ければ・・・”というだけの話になってしまいますね。
スポーツの厳しい所は、どんなにベストを尽くしても勝敗が決まってしまうところ。音楽はその点(コンクールを除けば)人間の感性による好き・嫌いに委ねられる部分も多いですから、その点は同一ではないですね。
試合を見始める前から嫌な予感がしていました。そんなことを言えば、やっぱり結果論で話しているのでは?と疑われますね(笑)
理由は、初戦と同じ投手を先発させること。そしてその試合も(5-0というスコアだったとはいえ)8回、9回はヒヤヒヤものだったこと、その2点です。結果だけみると圧勝でしたが、その試合も見ていた(素人ですが)僕にはかなりぎりぎりの試合に写りました。
個人的な感想ですが、日本チームは”型(かたち)”にこだわり、韓国チームは”流れを読み切った”、それが最後の大逆転に繋がったのかもしれませんね。
逆転した直後に登板したピッチャーも、変則投げのベテランを起用して、反撃ムードの出鼻を挫きました。ムードに流されず、とても経験豊富で老獪な采配だなと思いました。
その前から敗色濃厚だったにもかかわらず、粘り強く投手起用を続けていました。連続安打されたピッチャーの交代を決断。なんとか流れを引き寄せようと善処しているな、と感じられました。
一方、日本は試合前から決めていたこと、それに固執し過ぎて、すぐそこまで迫っていた流れに呑みこまれてしまったように思えました。
僕が感じていた嫌な予感は、完璧と感じられるほどの快投に完全に拭い去られていました。少なくとも交代するまでは。でも、あまりにも素晴らし過ぎて次に出てくるピッチャーとしてはかなりのプレッシャーだったのではないか。だって、負けたら終わりのトーナメント。しかも国際試合。重圧はどれほどだったか?と想像に難くありません。
相手チームにすれば、手も足も出ないと感じていた選手が交代したわけですから、ここまでなんとか持ちこたえたんだから、もしかしたら・・・という期待が膨らむのも当然です。
えっと、ここからは演奏家らしい話をします。(本業は音楽ですからね(笑))
数年前の演奏会で尊敬できる方と共演する機会を得ることが出来ました。
その最初のリハーサルの時、僕は自分がその時出来る全てのことを準備したつもりで臨みました。
でもその時言われたのは「とてもいいよ!何も言うことないくらい。でもね、自分が良いと思っていても、本当に聴衆が楽しい!って感じているかどうか?それを見つけようとすれば、まだまだ良い演奏に出来る余地はあるよね!」と言われ、なるほど!!と思った経験があります。
つまり、型通りに演奏すれば間違いは少ない。でも、もっと演奏家としての経験からの視野を広げてみれば、まだまだやることは残っている、ということなんでしょうね。
実は、それはリハーサルだけでなく、(本番での)舞台上でもその作業は行われていました。とても得難い貴重な経験でした。
本番前に決めていたことを初志貫徹することも大切ですが、その場で感じる流れを大切にするのか?それとも空気に流されずブレないことが重要なのか? それらのバランスを取ることって、もっと大事なことなんだな、と改めて昨夜は感じた時間でした。それを最終決断する監督って大変ですね。
って、なんでも音楽と結びつけて考えてしまうところが、演奏家の悪い癖なのかもしれませんね。
諦めず頑張っている姿をまた応援します。それが本当のファンだと信じています。
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